過去の状況と留意点
ケーブル貫通部防火処置およびケーブル延焼防止に使用されたアスベスト含有製品は、耐火仕切板(けい酸カルシウム板)、耐熱シール材および延焼防止塗料が主体です。
なお、防火区画貫通部の耐火充てん材として使用されているロックウールは、アスベストを含有する材料ではありません。
種別 | レベル区分(注) |
---|---|
耐火仕切板 | 2 |
耐熱シール材 | 3 |
ケーブル延焼防止塗料 | 3 |
(注)アスベスト飛散の危険性レベル
けい酸カルシウム板
けい酸カルシウム等の原料にアスベストを補強繊維として混合し、成形固化されたもので、けい酸カルシウム板第二種に該当し、一般的には耐火被覆板として分類されるものです。その耐火性の良さから、主として貫通部の耐火仕切板として使用されてきた材料です。
アスベストを含有するけい酸カルシウム板は、割れ、欠けなどがない通常の使用状態では飛散する恐れはほとんどありませんので、特に健康面への影響はほとんどないと考えております。また、施工時の状態を維持している限り、継続使用は可能です。
耐熱シール材
難燃材等にバインダー等を混合したパテ状のものです。
耐熱シール材に含有されるアスベストはバインダー等により固定されており、 通常の使用状態では飛散する恐れはほとんどありませんので、 特に健康面への影響はほとんどないと考えております。また、施工時の状態を維持している限り、継続使用は可能です。
延焼防止塗料
難燃材等にバインダー等を混合した強固な塗膜です。
延焼防止塗料に含有されるアスベストはバインダー等により固定されており、 通常の使用状態では飛散する恐れはほとんどありませんので、 特に健康面への影響はほとんどないと考えております。また、施工時の状態を維持している限り、継続使用は可能です。
改修および解体工事時の留意事項
けい酸カルシウム板
一度取り外したアスベスト含有製品の再使用はできません。従って、ケーブル増設時には、除去した防災製品はすべて廃棄し、アスベストを含有しない製品で新たに施工してください。
けい酸カルシウム板を切断加工する場合、微量のアスベストが飛散することが考えられます。周囲へのアスベストの飛散量は微量増加することが予想されます。
石綿障害予防規則(石綿則)では、耐火被覆板(けい酸カルシウム板第二種)の除去作業はレベル2の作業に分類されます。
また、大気汚染防止法(大防法)では、耐火被覆板は特定建築材料に該当し、その除去作業は特定粉じん排出等作業になりますので、石綿則だけでなく、都道府県知事等への届出や薬液等による湿潤化など、大防法の適用を受けます。
耐熱シール材
取り外した場合はそのまま継続して使用できません。新しい製品に取り替えてください。また、汚損、変形などが生じている場合には新しい製品に取り替えて下さい。
耐熱シール材の除去作業は“石綿等の取扱作業”に該当するため、石綿則を遵守して作業してください。
延焼防止塗料
延焼防止塗料付ケーブルを廃棄する場合やケーブルから延焼防止塗料を除去する場合は石綿則を遵守して適正な処理を行ってください。
ケーブルの増設時には、既に施工された塗料塗布部については手を加えず、ケーブル増設部に新たに延焼防止処置をすることをお勧めします。
廃棄処分
けい酸カルシウム板
耐火被覆板(けい酸カルシウム板第二種)に分類されます。廃棄処理の際には「廃石綿等」に分類されますので、特別管理産業廃棄物としての処理が必要となります。また、作業に使用した防じんマスクのフィルターなども「廃石綿等」になりますのでご注意ください。
廃棄時には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく適切な処理が必要ですので、許可を取得している特別管理産業廃棄物収集運搬業者及び特別管理産業廃棄物処理業者への処理委託をお願いします。
耐熱シール材および延焼防止塗料
耐熱シール材および延焼防止塗料は、産業廃棄物の“がれき類”のうち「石綿含有産業廃棄物」として処理する必要があります。その際には、マニフェストに「石綿含有産業廃棄物」と記述し、アスベストを含まない廃棄物とは分別してください。
ただし、「管理型処分場」等での処分が望ましいとされる場合もありますので、所轄の自治体の指示に従って廃棄してください。
廃棄時には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく適切な処理が必要ですので、許可を取得している産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処理業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者及び特別管理産業廃棄物処理業者への処理委託をお願いします。